ブ日記

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最近観たもの

ポケットの中の戦争(1989)

 確か子供の頃生まれて初めて見たガンダム。改めて観ても傑作。なのだがほとんど内容についての記憶がなく、子供が悪い兵隊と一緒にちょっとした「冒険」をする児童文学的エッセンスだけを覚えていたらしい。

 実際、児童文学としてのわくわくする感じ、大人の世界の不穏さが徐々に舞台を包み込んで行く感じはいささかステロタイプながらも素晴らしい。子供時代にこれを観たのは幸せな体験だった。明らかに大人向けなんだけどね。サイド6のきな臭い「平和」は明らかに戦後日本と重ね合わせられてるけど、よく考えたら当時は湾岸戦争もユーゴ紛争も起きていないのだった。じゃあ(EDとかも)具体的には何のイメージだったんだろうか。

 コロニー内の町並みの80年代アメリカっぽさも楽しいけど、ファーストガンダムと同時期にこんな風俗な訳ないだろうとも思う。

 

花の詩女 ゴティックメード(2012)

 最近永野護に興味が出てきた事もありわざわざ三島まで行って鑑賞。

 目玉ではあれども短すぎるのでそれメインで見るわけにも行かないメカアクションのパート以上に印象に残ったのは、今となっては見ない、というか10年前も同様に稀少だった真っ直ぐな物語だった。

 要はボーイミーツガールであり、戦いの世界に生きる男と平和の世界を体現する女が出会い、旅を続ける中で互いを知り、変わってゆくという使い古されたプロットである。語り口が新しいわけでもない。それがなぜ強い印象を与えるのかといえば、たとえば独自のSFデザインであるとか、ふつうのアニメであまり見ないような画の動かし方、そういった映像的な驚きの中に物語が、戦争と日々の暮らしが置かれるゆえなんじゃないかとも思う。いやむしろ、単に(くだんのエンディングも含めた)オプティミスティックな感じにやられたのかも。何といっても主人公二人が最後に誓い合うのは善政と争いの抑止なのだ。

 お目当てだったロボアニメ要素について言えば、GTMは10年経っても追随者が見当たらないレベルで新しいし凄まじいけど、全体的なメカデザインはさすがに古くさいのも多いのは残念。魔方陣とかのエフェクトは新鮮味が無くて、少しがっかりした。そもそも短すぎてちゃんと観られていた自信が無いが。音響はかなり気合いを入れていることは分かったものの、僕の方に聞く耳がないのであまり記憶に残っていない。身支度をしながら再上映を待ちたい。

 

ODD TAXI (2021)

 評判良いし山田遼志がOP作ってるということもあって視聴。第1話、夜の街景の楽しさと芸人ラジオ、シニカルなSNS(というかtwitter)観のそれっぽさに初っ端引き込まれる。どこか生き物臭い乗客達を相手にした会話劇ももちろん良いが、見慣れた東京の町をかわいい動物キャラが行き交う画面自体に魅力がある。

 第1話から不穏な要素がちりばめられてはいるものの、エピソードが進む毎に物語はサスペンス色を強め複数の犯罪が進行し、登場人物とその間の絡み合いは増えていく。基本、主人公の小戸川とタクシーの乗客との二人芝居で進行するスタイルでこれをやる事には感心する。するけれど、こういう(伏線と分かる)伏線を巧妙に張り詰める類いの映像作品に対して正直徒労感というか、白けた感じがある。思えばロボとーちゃんとかの頃からだからだいぶ前からだな。

 小戸川自身がどんな人間なのか、この(文字通りの)人間動物園がどんな意味を持っていたのかが判明する最終回は感動的だけど、それだけに真犯人については謎解きのための謎解きというか、「だからどうした」感が強かった。本編のストーリー以上に、4話が典型的だけど、本筋の傍流に置かれた個々人の物語が光っていたというのもあるんだろう。