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『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜(2023)』

 今年のクレしん映画観たんですよ。クレしん映画。3DCGの。キャッチコピーが評判悪いの。感想については最近の良くも悪くもにぎやかなクレしん映画より昔のダウナーな感じに近いなとか鉄雄状態がまんま鉄雄すぎとか、色々あるんだけどめんどくさいので置いときます。

 で、全体としては悪くない映画で終盤に入るまでは子供が観て楽しいものになってると思うんだけど、問題は終盤なんである。

 ネタバレになるが終盤は敵役……別に言っちゃって良いか、鉄雄状態の30男こと非理谷(つい非持手と書きそうになる)の精神世界的な所で子供時代の非理谷としんのすけが心を通わしたりなんだりする展開になるのだが、このパートが妙に長い。そしてちょうど30歳の男で子供時代は断然クレしん派だった僕には分かるのだが、幼稚園児の(つまり約25年前の)彼がカンタムのアニメを観ているシーン以降徐々に、非理谷が「子供の頃クレしんを観て育った世代」の象徴っぽく扱われるようになり、しんのすけもそういった見立て抜きにはちょっと理解し難いような言動をとり出す。

 ようは最近よく見る自己言及的に「キャラクターは今もこうして視聴者のみんなと共にあるよ」みたいなメタなメッセージを観客に送るこまっしゃくれたやつをクレしんでやってる訳だけど、ここで非理谷に感情移入出来るのってほとんど25から30くらいの男だけじゃない? 範囲狭すぎない? って思っちゃう。子供とその親が主要な観客になるような映画でやる事か? って。そもそも全観客のうち非理谷と似た境遇という点では上位10%に入るであろう僕が観ても退屈な展開を長々とやって子供が楽しいわけないだろう。(ただ、このパートがやたら長くなっている一因は先述のメッセージあるいは説教とは別に子供向けのお説教も盛り込んでいるせいだと思う。)

 そもそも子供が観る映画で「日本の未来は暗い」的な内容を割と説明的な台詞で何度も繰り返し言うなよとも思う。劇中に「子供達にそんな事言わないで!!」って吉永先生の台詞があるけどこの映画自体はそういった配慮を欠いてるのがヘンだ。全体的にメッセージの送り先がずれているような感じがある。

 とは言え子供非理谷が観ているカンタムに、失われたウン十年だかの日本の変わってなさ、クレしん自体がその一部である事を感じてちょっとゼツボー的な気分になったのは事実である。あと全体的に世代を超えるアイコンとしてのカンタムロボの扱いが良かったですね。世代と言えばこの映画観た人全員が持った感想だと思うけど今作のひろし何歳なんでしょうね。どう見ても35では無い。「我々の世代には憧れの車」発言とか見るにわざと上の世代っぽくしてる。そういや今オトナ帝国を観ると公開時には30代後半のひろしが万博世代で合ってたという事実に驚いてしまいます。

 好きな台詞は「まさかカンタムロボと戦えるなんてな。見せてもらおうか、連邦軍の実力とやらを」です。パロディのやる気の無さ込みで良い台詞。

 

ところでクレしん映画のしんちゃんにそんなに破天荒なイメージって無いな。僕が一番好きなヘンダーランドのしんのすけなんてただの純真な良い子ですよ。