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『甘木唯子のツノと愛』(2017)読んだよ

 いちおう久野遥子のファンであるにも関わらずここ数年のクレしん映画は見れておらず、ルミネのcm仕事にも最近まで気付かず、何よりありえないことに本書については「近いうちに買わないとな~」などと思いつつだらだら放置し、5年も経って今さら購入したのはBOOK-OFFの100円棚という体たらく。ごめんなさい。改めて新刊で買います。

 まあそれで、久野が商業媒体で描いた漫画を読むのはこれが初めてなんだけど(ココがまずありえないが)、なんか今の今までこの人について大きな誤解をしていたような気がする。思ってたより普通の感性ありそう。それに思ってたよりだいぶ人情家っぽい。『Airy me』とかの印象が強すぎて、久野遥子のことを人間を生きたまま解剖する冷酷な宇宙人みたいに思っていたのである。

 そういう心構えで読んだものだから割と普通に展開する人間ドラマに意表を突かれてしまった。あっ少年少女の揺れ動く心情とか描くんだ……そういう人間性あったんだ……って(何重にも失礼)。と言っても『Airy me』からして強烈に見るものを動揺させるエモーショナルなものが描かれていたわけで、本書収録作の物語もまた、周到な用意のもと、正体のわからない不穏な心の動きを、割と丁寧に読者に届けてくれる。

 しかし漫画形式で見るとやっぱりストレートにかわいいキャラ描くなあ。アニメーションだとどんなにキャラクターが可愛らしい造形をしていてもなにか不気味さを内包してる感じがしちゃうのだけど。久野遥子の描く女の子の毒々しいまでの可愛さはもはや衆目にも知られつつあるけど、漫画だと男キャラもすごく魅力的なのだ。なんかの間違いで男子中学生のしょぼくれた日常ギャグみたいな企画が久野に依頼されないかなー(間違いすぎだろ)。

 本来はこんな駄文を垂れ流している場合でないくらいの傑作なのは世の評判が示すとおり、なんだけど、まだ充分に語られているわけではないと思う。個人的にはかなり思うところがあるので、特に『へび苺』については後日なんか書こうと思っている。書けたら書く。できれば。

 

 あとこんな事言うのどうかと思うけど、久野が参加しているということでからかい上手の高木さん3の5話見て改めて思ったんだけど、久野作品にしばしば出てくる髪の長い抽象的美少女ってやっぱり陽毬に見える。輪るピングドラムの子。